垂直落下式サミング

ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIEの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.2
2007年からテレビ東京系列で放映され、圧倒的人気と支持を集めているバラエティー番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の劇場版。太川陽介と蛭子能収のコンビが日本を飛び出し、ゲストマドンナに三船美佳を迎えて、台湾を舞台として3箔4日の路線バス乗り継ぎの旅を繰り広げる。
やはり、リーダーシップを発揮して積極的に情報収集する太川陽介と、意見はするけど一切の責任は持たないスタンスを貫く蛭子能収という名コンビぶりは健在。旅番組でさらっと他人の文句を言ったり、カメラが回っている前で寝たり、ご当地の特産だとか旬の名物だとか言われてもそれを食べない蛭子さんのキャラクターは、この番組の発明だった。そして、そんなダメおじさんを穏やかに嗜める太川陽介の優しさと、毎回絶妙に旬じゃない女性タレントが出て来て頑張る様子が、番組を盛り上げてくれる。
シリーズのなかで私が好きなのは、苦労して旅を完走した達成感から、「無事に成功した記念に、みんなで夕陽を見に行こう」と言う太川陽介とマドンナに対して、「もう終わったんだし帰ろうよ」と蛭子さんが言い放つ場面。へらへらしながらこれを言っても嫌な顔をされないのがすごいし、この無神経さを笑って許せる太川さんも得な性格でうらやましい。
今回は、海外ということもあってか、地元の人との交流が少なく、なんだかいつもより忙しない。台風が直撃した3日目に至っては朝から強風が吹いており、シリーズで最も厳しい天候下でのロケーション敢行となっていて、謀らずも劇場版と銘打つに相応しいピンチを演出していた。
今回のマドンナの三船美佳は、異国の地でも「彼女は三船敏郎の娘だよ」という説明で通用するのだから、父・敏郎の世界的な大スターっぷりを再確認。
レンタル店で手にとって気付いたが、テレビシリーズのDVDパッケージは蛭子さんがイラストを描いているのに、この劇場版だけ出演者がこちらに向かって微笑んでいる写真が使われていて、蛭子絵はちょこっとしか使われていない。ヘタウマなガロタッチは万人受けしないだろうが、シリーズ全部統一して欲しかった。