イチロヲ

金曜日の寝室のイチロヲのレビュー・感想・評価

金曜日の寝室(1978年製作の映画)
3.5
会社課長(宇南山宏)との不倫関係を築いているOL(加山麗子)が、行きつけの生花店の店主(野平ゆき)から、人生の破滅を指摘されてしまう。不倫カップルの強迫観念の芽生えを描いている、日活ロマンポルノ。阿部牧郎の同名小説を原作に取っている。

同じ会社に勤務している男女が、毎週金曜日の夜に、別の顔となって逢瀬を重ねる。課長は専務の娘(岡本麗)と結婚しているので、保身のために隠蔽しなければならない。一方、主人公は同僚の破綻ぶりを垣間見ながら、明日は我が身と苦悩する。

主人公、花屋の店主、課長の妻が、互いに牽制し合いながら、会社課長を包囲していく。追い詰められていく課長側の視点と、裏側でおこなわれている「女の戦い」を同時に暗示させていく。

「充実した不倫生活を築いているカップル」に対する、個人的な嫉妬心を表現しているところも印象的。クライマックスには「世知辛い世の中からの脱却」を目指した、びっくり系エンドが用意されている(これは当時助監督だった川崎善広の案)。
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