アベラヒデノブ0阿部羅秀伸

死霊館 エンフィールド事件のアベラヒデノブ0阿部羅秀伸のレビュー・感想・評価

3.7
面白かった。
でも謎だらけの前半に、どうしても後半が勝てないのは、何故だろう?
あそこまでの圧倒的な怪奇現象と、それによる家族の危機を観客に届けておきながら、超心理学者のアニタ・グレゴリーが「あの子の工作(自作自演)」と決めつけるシーンには心底腹が立った。
史実でもそうだったのかもしれないが、アニタ・グレゴリーのスタンスに信念と強い意志を感じることができず、軽薄な邪魔者という最悪の見え方をしてしまったことが苦しい。
工作を撮影していたなら、その瞬間の彼女の真剣な表情はしっかりと提示しておくべきだったし、芝居のトーンもあんなに嫌味を出す必要はなかったはず。
演出ひとつ、そこは忘れてはならないなと思った。
ラストも興奮していたからこそ、名前だけ思い出して「ハイ!サヨナラ!」的なあっさり感は、どう解消するべきだったのか。
観客にも「名前のようなもの」を伝えられていた痕跡は、伏線として残しておくべきだったのかも。
好きだったからこそ、色々と考えさせられる作品でした。