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ロープ/戦場の生命線のJのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
3.8
・物語★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★
・音楽★★★★

原題は『A Perfect Day』。
何をやっても上手くいかずに裏目に出る…そんな日は、皮肉を込めてそう言いたくなることもあるものです。

1995年、停戦直後のバルカン半島。
地雷が埋まる危険地帯で活動するNGO活動家たちに扮するのは、『ショーシャンクの空に』のT.ロビンスほか、B.デル・トロ、O.キュリレンコ、M.ティエリーら豪華実力派キャストたち。

物語のキーとなる“ロープ”は、紛争地域における水と衛生にとって、まさしく“戦場の生命線”🧵
これを手に入れる過程で出会った少年に導かれ、彼の家でようやく見つけたロープの先に括られていたものとは…😱
紛争がもたらす無慈悲な現実に、観る者の感情が揺さぶられます。

そしてもうひとつのキーアイテムは“ボール”🏐
無邪気なはずの少年が、大切なボールを金銭に換える理由もまた、観る者をやるせない思いにさせるのでした…。


鬱屈とした現実を前に、本来、暗澹たる気持ちになるはずのテーマですが、演出が極めて巧みにカバーしています。
印象的なのは、極めて明るくユーモラスに振る舞う登場人物の会話と、劇中で使用される80’sハードロック調の音楽。

それは、非日常を日常として生きる彼らに起きているであろう感覚の麻痺を、あたかも観客に投影するかのような演出でした。


皮肉たっぷりのラストシーンも、何とも言えないニヒルな余韻を残します。
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