大道幸之丞

エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

こういう戦争映画もいい。

戦争中の国家に面した国が、ある日突然戦争に巻き込まれる。その時の一般市民と軍隊の顛末が描かれている。

1940年4月8日デンマークとドイツの国境フレンスブルクが破られてナチスドイツがデンマーク国内に侵入する。

付近で軍事訓練していたのはサン少尉率いる第2自転車小隊。そこへ国境突破の報が入り援軍に駆けつける。先発したバイク舞台はナチスの兵力を確認し「戦うのは無茶」と撤退してきた。しかし自転車小隊は命令通りに足止めを目指し挑む。ここまでの流れでとにかく通信と伝達が充分ではない。

そこでは一定の火力効果もあり多少の足止めをしたが1名戦死、バリケード築こうとするや一般市民の野次馬が興味本位でわらわら集まって来る。「戦争状態」がよくわかっていないのだ。牛乳売りの少年まで出てきて売り歩く。

そこでナチスが押し寄せ少年はあっけなく撃たれて死ぬ。

サン小隊は市街地軍本部に合流するが、そこにいるのは実戦経験のない杓子定規にしか行動できない若い兵隊ばかり。そこへナチス到着。

サン少尉は路地へきめ細かく小隊を配備させナチスを迎撃、後退をしつつ戦うがついに追い詰められ無念の降伏、捕虜となる。

ナチスの将校から「なぜ抵抗したか?」と問われる。真意を図りかね逆に質問の意を問うと「デンマーク政府は2時間前に降伏した」と告げられる。

唖然としたサン少尉には無念の表情と様々な逡巡がある。

道中匿ってもらった農家で老婦人が「ここは20年前はドイツだった。国はどこでもいいから平和に暮らしたいだけ」との言葉が印象深い。

ナチスの『自動化部隊』を前に戦争なれしていない(あるいは準備が充分ではない)国側の一コマを描いた作品だ。

しかしこれは現在の北欧5カ国で唯一ロシアと国境を接しているフィンランドを想起し、けっして遠い昔の話ではないと思わせる。