YasujiOshiba

未確認生命体 ザ・フロッグのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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MUBI。23-155。邦題すげーな。原題は「外には何もいない」(There's nothin out there)。ホラー映画オタクのマイクが、「外には何もいない」と言っている仲間にばかにされながら、苦悩の姫(Damasel in distress)を救うという話型なのね。

冒頭のビデオショップのシーンから映画がキューを出している。ホラー好きならわかるでしょ?そんな感じ。それからオープニングクレジットなんだけど、これがまたイカしている。マトリックスふうのグリーンライトが流れてくるトンネルをぐいぐい進む体のバックにクレジットが流れる。音楽のノリもよい。いいじゃん。

ヴァケーションで湖の近くの別荘に3組のカップルとホラーオタクというのも典型的。ちょっとウブなブラジル娘とイケイケの金髪娘、それから地味なかわい子ちゃん。生き残るのはもちろん地味なかわい子ちゃん。そういうことになっている。

その地味なかわい子ちゃんの名前はステーシー。地味だけど、どんどん可愛くなってくる。なんといってもビキニ姿がまぶしい。しかも立ち振る舞いが素敵だ。調べてみたら演じているのはボニー・バウアーズ。映画はこれしかないみたい。でも彼女はミュージシャンで、ギターやベースを弾いて、歌まで歌う人。なるほど、その存在感か。

それにしてもカエルのモンスターは人間の女の子たちにタネ付けしようとしているってのが笑える。男はドロドロにしてしまうのにね。

楽しゅうございました。

追記:
MUBI で短編『Copycat』を見る。8分の短編。ロルフ・カネフスキーへのインタビュー。これによると、『Nothing out there 』は、カネフスキーが10代の終わりの夏休みに資金を集めて撮影したもの。16ミリでの撮影だったからだろう。カメラワークが軽やかで、ぐるぐる回したり、地面を勢いよく這わせたり迫力抜群。ローバジェットだからステディカムなんか使っていないはずなのだけど、ホラー映画ファンならではのファンタジーに溢れている。

内容的にもウェス・クレイヴンの『スクリーム』(1996)の先駆け。じっさい、クレイヴンの息子のジョナサンがカネフスキーの映画を見て賞賛したというし、その父ウェスがその後に撮った『スクリーム』は、ホラー映画について語るホラー映画という設定になっているし、いくつものセリフが微妙に引用されているのだという。なるほど、だからインタビュー短編のタイトルが「コピーキャット」なわけだ。

この点について、カネスキーは言う。じぶんは「Ther's nothing out there」(外にはなにもいない)というホラー映画の典型的なセリフをタイトルにしたけれど、次に撮る作品は同じようなセリフを引用したいという。曰く「It's not funny any more」(こいつは笑いごとじゃない)。まあたしかにね。
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