成川ジロー

シング・ストリート 未来へのうたの成川ジローのレビュー・感想・評価

4.5
 素晴らしい青春映画だった。爽やかな感動の青春映画でありノリノリな音楽映画でありダサくて童貞臭のするボンクラ映画でもある。それらが良い具合に合わさってて凄い爽快感があった。笑って泣ける映画って良いよね。
 主人公コナーとその兄貴ブレンダン、そしてバンドメンバーの面々が最高過ぎて、いつまでも彼らを見ていたくなる。ヒロインのラフィーナも悪くはない。むしろそのメンツの中で一人だけ田舎の中の都会っぽさを出せてて凄い良いんだけど、上記の面々が魅力的過ぎるだけに、ダーレン、エイモン、ンギグ、ギャリー、ラリーらの超面白いメンバーがあっさり描かれすぎてるのが不満と言えば不満。あと10分くらい長くして良いからもっともっとこいつらを見せて欲しかった。電車の中で色んな人たちと踊るシーンとか最高ですよ。特にエイモンが良くて、コナーとエイモンの作曲シーンも本当に素晴らしい。
 個人的に泣けるシーンがいくつかあった。両親の言い争いは普通に悲しいし、体育館で撮影するMVのシーンの現実と理想のギャップで笑いながら泣いて、兄貴が自分の鬱憤をぶちまけてしまうところで泣いて、ラストの兄貴の「Yes!」でもう普通に泣いてしまったり。一番感情移入してしまうのは兄貴なんだな。主人公はキラキラし過ぎててキスのシーンとか童貞っぽくて本当にかわいらしいんだけどね。ただただ、外に出ることを弟に託した兄の「Yes!」に自分は心を揺さぶられてしまいました。自分にはちょうど兄貴と妹がいてコナーと同じ立場で、自分の兄貴がキレてしまうのは勿論見たことがあるし、両親が言い争っている中兄弟で部屋にいたこともうっすらだけど記憶がある気がする。凄いリアル。そしてラストで監督の兄貴の名前の入ったボートで旅立って、ラストの文。もうね。たまんないよ。
 バリーも被害者だとわかるところは良いんだけど、最後のバリーの扱いももうちょっと良くして欲しかったから、やっぱり脇の魅力的なキャラクターたちをもっとしっかり描けてたら満点の映画だったと思う。そこだけ本当に惜しい。
 誰にでも勧められる変なクセのない映画でもあると思った。見ると元気になれます!是非映画館で、おすすめです!
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