このレビューはネタバレを含みます
好きだったー
でも、セリフにもあったけど、あのバンドメンバー達も、一緒に救って、一緒に逃げて欲しかったし、
あの、妹をね、助けてやってほしかった、彼女へのフォローがなかったのには、モヤッ 母と娘の関係を救うなにかを、示してほしかった、
それ以外はもう。だいすきよ。もうちょっとヒリヒリしたのが好みだけど。ピリッとはしてたし。ファッションが好き!!これはフェチ。
イマドキ躁鬱の母とか驚かねーや、と思っちゃったんだけど、父との関係がさらっと明かされたときの、あの、感情が絡まる感じ、明言はされなかったけど、性的虐待…に準ずるなにかを匂わせたあたり…
美しいミューズの剥き出しの傷が曝け出されていく過程、良かったなあ。
あんな兄貴の存在、羨まし過ぎるだろ…と思ってたけど、弟への嫉妬をにじませる、あの一筋縄でいかない気持ちの発露、たまらなかった。最後のセリフ、イエス!もうね、ほんっとそうだよね…大丈夫、立ち直れるよ…
作曲担当のエイモンくんが好きでなあ。あのメガネ!うさぎ!(特典映像!「僕はミュージシャンで映画は嫌いだ、なんて言ってた」ってなんだよ、可愛すぎだろ!?キャラそのままかよ!)そして、あのセリフ最高。ほんと、お前の歌で俺たちをここから救い出してくれよ、この明るい地獄から連れ出してくれよ!って気持ちになったもんな。主人公の希望をなんでも叶えてやるあたりエモかったですね…
ソバカスのマネージャーの彼も可愛いかったねえ。いじめっ子の彼が仲間になるくだりも最高だった。かっこよかった。
登場人物の掘り下げが嬉しかったし、愛しかった。
だからこそ、うん、妹よー! あれはマジで、かわいそう…あの兄貴がいるから大丈夫って信じたいけど…母と決別したうえで愛した女を連れ出す少年、それは定番なんだけど…身近な女である妹に、脇目も振らないあたり、悲しかったな…主人公もまた兄であるはずなのに、どうも幼いんだよなあ…
でもあの主人公の、一見見た目は冴えないのに、行動力はある感じ、あれに勇気付けられる10代はたくさんいるだろうなって思った。バラード歌ってるときの美しさ、かっこよさったら。
あの校長も、悪役としては弱かったかなあ…ミッション系スクールの意地悪で厳しい校長が子供の前に立ちはだかる、って定番の悪役像だし。他の生徒をも巻き込んで、あの校長を追い出す、くらいのカタルシスを感じたかったかも。
だってそうでもしないと、フロントマンを失ったバンドメンバー、あの学校でどう生きていくんだよ、大丈夫かよ、早くイギリスに呼んでやってくれよな…
キリスト教保守派から、デヴィッド・ボウイ的な中性的アイコンへの、当時の、風当たりの強さみたいなものを感じたのだけれど、リアルタイム世代じゃないのでイマイチピンとこないというか、迫ってこなかった部分もあるかも…?
上品というか優等生な映画だなと思った。こう、文化系というか、サブカル系の趣が、ある種のファンタジーを生んでるというか。
でもうん、曲が良かったので最高だった。曲を作るたびバンドメンバーが自信をつけて、どんどんカッコよくなっていくサマが良かった。
なんだろうな、あと30分くらい見ていたかったかもしれない。あの学校でたったひとりという、黒人の彼のエピソードも見たかった。
演出過多でない、でもザクッと抉るような、ちょっとしたセリフが上手かったねえ。ジョン・カーニー監督、こなれてきたな、って感じする。こういう題材でいくらでも撮ってくれ、って思ってるけど、類型のストーリーに落とし込まれるようだと、ちょっと不安かな。でも、今後も楽しみ。