エスキモーズゆう

シング・ストリート 未来へのうたのエスキモーズゆうのレビュー・感想・評価

3.9
高校生のバンド映画として観ると、とてもリアルな描写がたくさんあります。
例えば、作曲しようぜってメンバーの家のベルを鳴らす感じとか、お母さんがちょいちょい絡んでくる感じとか、兄貴の影響でやりたい事やファッションがコロコロ変わる感じとか…。セリフの端々にワクワク感とヒリヒリ感と童貞感が描かれていれば、それ以外のリアリティの無さはどうでも良かったりします。
バンドをやっている自分自身としても、ああいう青春が絡まった体験は二度と訪れないと思うと、ちょっと切なくなります。

希望が見えない85年のアイルランド。
大人も子供もタバコ吸ってて、口が悪くて…この時代を題材にしたバンド映画って、結構好きなのが多い気がします。「ザ・コミットメンツ」とか(青春ではないけど、大人たちの滑稽なドタバタ劇が面白い!)、The Poguesのボーカル シェーンのドキュメンタリー映画とか。
それらも改めて観たくなりました。

ラストの希望5% 不安95%な旅立ちは、そんな当時のアイルランドの若者を象徴しているようでした。