櫻イミト

夜汽車の女の櫻イミトのレビュー・感想・評価

夜汽車の女(1972年製作の映画)
3.0
「牝猫たちの夜」(1972)に続く田中登監督の3作目。「映画芸術」1972年度日本映画ベストテン第9位。チーフ助監督は長谷川和彦。

前作よりさらに映像イメージが先鋭化し、シュールな映画が作りたいという監督の意気込みは伝わってきた。しかしその点では少々空回り気味で、演技や美術が追い付いていないように感じた。一方で、令嬢姉妹のモダンなファション、和洋折衷な屋敷装飾、劇伴のバッハなど、耽美で“昭和ゴシック”な雰囲気は個人的に大好物。夜汽車では瞽女まで出てきて泣けるほどに力が入っている。赤のイメージやレズビアン的な雰囲気からはロジェ・バディム監督「血とバラ」(1960)を連想した。おそらく監督も意識していたのではないかと推察する。

「割れた皿の中から水を感じさせる映画ができないかなと思 って作ったところもあるんですよね。」田中登
櫻イミト

櫻イミト