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世界のkabcatのレビュー・感想・評価

世界(2004年製作の映画)
3.8
ジャ・ジャンクー作品再鑑賞3本目。制作年とともに彼の作品を見直すことは、中国の激変ぶりを実感することでもある。今回は撮影当時とほぼ同時代の北京が舞台だが、『青の稲妻』の時代から、特に大都市を中心に国が大幅に変わりつつあることがうかがえる。人々がそれぞれ携帯電話を持ち、海外のファッションに寄せた服装をし、「世界」をミニチュア化したテーマパークまでできている。

しかしどれほど物質的に豊かになり、海外からの情報が大量に流れてきても、ここに登場する人物たちの多くは自由で豊かになるどころか、ますます国の中に閉じ込められ、閉塞感と焦燥感に苛まれている。恋愛にすら救いを見出すことができない若者たちの行き詰まった状況を今回も冷静に映し続けている。

カメラはますます洗練されていて映像は美しい。ただ度々のアニメーションの挿入など今回は新しいスタイルを試みていて、それが試行錯誤している感じがする。正攻法でフィルムのみの編集であれば、もっと力強さが出たのではと思う。

監督の映画とともに、チャオ・タオもますます洗練されて美しくなっている。今回はさまざまなコスプレも見られて楽しい。スチュワーデス姿、似合ってます笑。
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