ベビーパウダー山崎

赤い夜のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

赤い夜(1974年製作の映画)
4.0
人が無闇矢鱈に死ぬ映画でもあって、変装からのスパイ活動、美しい女性が仮面をつけて部屋に忍び込むくだりはしっとりと全身とらえてのエロティシズム。吹き矢に手首から流れる血、喜劇的なリアクションもあれば、恐怖映画のような面構えもしっかりおさえている。殺人マシーンを生み出すマッドサイエンティスト、カルトとカルトが対峙していく終盤の撃ち合いはこれしかない着地。
結局、これはなんの映画だったんだろう。物語がうねり過程も結末もはっきりしない、ただ今まで見たことがない奇形した「映画」が目の前で出来上がっていく興奮、道徳や倫理は欠片もない、顔を幾つも変える赤い覆面をした男のように掴みどころなく様々なジャンルが散りばめられた105分の「混沌」、これこそが至上の表現。こういった映画を浴びるとまた明日も明後日もまだまだ映画を見ていこうという気持ちになる。