SatoshiFujiwara

影たちの対話のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

影たちの対話(2014年製作の映画)
4.1
ベルナノスの原作はさすがに知らないです(ちなみにブレッソンの「田舎司祭の日記」の原作小説がベルナノス)。ノルマンディのフレール近郊の林を背景に、固定ショットで男はフレームの右下に、女は左下に。それぞれうつむいたりフレーム外の対話相手の方を向いたり、この動き自体が次の運動を呼び込む。つまり運動性が継続し続ける(また、ストローブは敢えて他国人に他国語を読ませたり、言葉の響きの即物性を際立たせるようなゴツゴツした読み方をさせることが多い。スムーズでないことから生まれる「ひっかかりと違和感」がまた観客の記憶に残る)。そして映画の最後だけ同一フレームにこの2人がおさまって対面する。この「開け方」が大変すばらしい。単純きわまりない方法にも関わらずその効果は見事で、映画は大量のカネとヒトを使えば必ずしもサスペンスフルになるわけではない、逆に言えば撮り方1つでいかようにも豊かになります、という例示のようだ。
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