松井の天井直撃ホームラン

嘘をつく男の松井の天井直撃ホームランのネタバレレビュー・内容・結末

嘘をつく男(1968年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

☆☆☆★★

冒頭での、森の銃撃を観た瞬間に。ひょっとしてロベール・アンリコの『ふくろうの河』じゃなかろうか?と思いあたった。

映画を観終わり、当たらずとも遠からずだったのでは?…と。

映画の全編で、今スクリーンで展開されているのは。この男の《記憶》なのか?それとも《夢》なのか?…と、絶えず頭の中で考えがグルグルと巡る。
どこが【真実】で、どれが【嘘】で塗り固められているのか?。
いやそうでは無い。全てはこの男が作り上げた【妄想】なのではないのか?…等と。

確実に迫り来るナチスの影。命からがら迷い込んだ1つの村。死の恐怖に怯える男に向けられるのは、謎の男に対する村人達の不審な眼差しだった。

そんな、死の恐怖と共に味わう招かれざる客の雰囲気を。一時的にも忘れさせてくれるのは、何やら倒錯的で妖しい女達。
死に怯え、癒しを求める男には女神の様に見えたのかもしれない。

だが…。

中盤で、この女達がハサミで髪を切ったり。縄で縛ったり。この監督独特の、倒錯的な描写に至る場面は圧巻で。まるで、男がその場所に居ないのを良い事に。大勢の死神が、男の寿命を削ぎ落とそう…としている儀式の様に感じられて、観ていてもゾクゾクとさせて貰えた場面でした。

真実を求め村の中を調べる男。
やがて訪れ重なり合う、〝過去の自分〟と〝未来からやって来た自分〟との対面。
しかし確実に、その《運命の時》は近づいていた。

以上かなり適当。且つ勝手に解釈したレビューになっております。

2019年2月21日 キネマ旬報シアター/スクリーン3