桃子

アウトブレイクの桃子のレビュー・感想・評価

アウトブレイク(1995年製作の映画)
4.0
「キスは超濃厚接触」

今の時期に見るとテンションがあがりまくる(さがりまくる人もいると思うけど)映画である。アフリカから輸入された1匹のお猿さんから人間に蔓延してしまった感染症との戦いを描いている。
アメリカの地方都市で発生するのだけれど、その原因も凄いし、アメリカ軍が蔓延を止めるその方法もすさまじい。アメリカ全土を救うために、地方都市は犠牲になってくれとは恐れ入ってしまった。
あと、見ていて身の毛がよだったのは、映画館のシーンだった。感染した男性が映画館の中で咳をする。その口から放出された飛沫がエアロゾルとなって空中を漂っていく映像に、思わずゾワ~~~~っとなってしまった。エアロゾルは肉眼で見えないから、こういう映像を見せられると本当に怖い。
勉強になったのは、冒頭からすぐくらいのシーン。CDC(アメリ疾病予防管理センター)の建物内部の描写だった。ウィルスの危険度によってレベル分けされていて、最高に危険なレベルのウィルスにはエボラウィルスやペスト菌が挙がっていた。
この映画の、猿から感染する病気の症状はビジュアルも非常に怖いものになっている。熱が出て全身に発疹が出て皮膚がただれて溶けたようになる。致死率が高くて、感染したらほぼ全員死んでしまうという超ド級の威力である。空港で、猿を輸入して感染した男が迎えに来た恋人と抱き合ってぶちゅうとキスをする場面があった。これも背筋がゾワっとなったシーンだった。
最大の見どころはラスト近くのヘリコプターチェイスだろう。主人公のサム(ダスティン・ホフマン)が助手のソルト少佐(キューバ・グッディング・Jr)と一緒に追手から逃げながら目的地へと向かう。追ってくる相手にハートフルな説教(とまではいかないかもしれないけど)をして攻撃をやめさせるシーンが感動的だった。
「コンテイジョン」と比べたら、娯楽性がとても強い。最後のハラハラドキドキの展開は本当に手に汗握る。
今から25年も前の映画である。映画を作った人たちは、まさかフィクションが似たようなノンフィクションになるとは、想像もしていなかっただろうなあ。
桃子

桃子