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ちんころ海女っこのkossのレビュー・感想・評価

ちんころ海女っこ(1965年製作の映画)
3.3
石堂淑朗の政治と前田陽一の喜劇が融和しなかった惜しい作品。島を日本のハワイにしようとする村長勢力と海女軍団の対抗、温泉掘削を夢見る男とつけ込む山師。海女芸者や海女トルコなど、開発に狂う人々の騒乱を艶笑コメディにまでもっていこうとしたのだろうが。

若い海女の中村晃子は女郎の末裔で赦免花まで咲かすが、八丈島の伝説の引用も活かされていない。土着性と歴史性が弱いのも残念。

それでもゴダールや市川崑「東京オリンピック」のパロディを突然やってしまう前田陽一の自由さは素敵ではある。

もう一つの欠点は、主役級の俳優がいないことだ。もしフランキー堺が出ていたら明らかに違う作品になっていただろう。

ついでながら、土着性と歴史性の観点から、この作品は3年後に製作される今村昌平の「神々の深き欲望」の先行作に思えてならない。
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