4年前、山本おさむ氏の漫画『聖 -天才・羽生が恐れた男-』を読んで、深く感銘を受けたことを覚えている。夭折の天才棋士・村山聖氏について初めて知ったのも、この漫画がきっかけ。当時は、映画化されればいいのに、なんて呑気なことを考えていた。今年になって、嬉しくも自身が中学時代からのファンである松山ケンイチ主演で公開されるという。大変嬉しかったので、将棋研究会の友人を誘って、そして自分一人で、2回観に行った。
こんなことを言うとお叱りにあうかもしれないが、個人的には、角川映画の昨今観た映画(「THE BEATLES:EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」「人間失格」「源氏物語 千年の謎」など)で、キャストにつられてみたものの、ストーリーにしっくりきたものが無くて(個人的見解です)、「あ〜、角川映画か…」みたいな勝手な印象を抱いていた。けど、これは筋が立っていたのでそれなりに観やすく感じた。もっと脚本どうにかできた気はするが。
「シュークリームはユニオン、牛丼は吉野家、 お好み焼きはみっちゃん、かつ丼は徳川」というほどの村山氏のこだわりの強さ、良くも悪くも我儘に、そして人間らしく「一生懸命」に生きた彼の人生に、心から乾杯したい。
エンディングの音楽は、秦基博。秦基博も、高校時代に友人から教えてもらって以来、「鱗」「アイ」をはじめ、素敵な曲を歌われるとても魅力的な歌手で、この映画にはぴったりだった。
この映画は、1回目に映画を一緒に観に行った友人のように将棋を知っている人と、私のように将棋に疎い人では、感想が異なるかもしれない。でもこの映画を2回スクリーンで観て、2回目は帰りに吉野家の牛丼を食べたこと、「イタズラなKiss」を古本屋で買ったこと、あれ以来、将棋にまつわる漫画や小説も手に取るようになったことを鑑みると、この映画から感じ入るものが大きかったことを再確認させられる。