おもち

君がくれたグッドライフのおもちのレビュー・感想・評価

君がくれたグッドライフ(2014年製作の映画)
3.7
 安楽死がテーマのロードムービー。フロリアン・ダーヴィト・フィッツ主演。
 毎年恒例になっている自転車旅行にミニゲーム、今回はなぜかベルギーが目的地。ベルギーなんて何もないだろという感じで進むが、本当はこの旅は主人公が安楽死をしに行くというものだった。
 序盤は自転車の後ろにカセットコンポを取り付けたりなんかしてグループ皆が大人の青春を満喫しているが、既に主人公はALSに侵され衰退する一方。途中に寄った友人の家でこの旅の真実を打ち明け一同お通夜ムード、それでも主人公は病人扱いするなと振り絞って楽しい旅にしようとする。
 それぞれがミニゲームを消化しながら徐々にその時が近づいてくる実感、既に決めてたこともあってか到着から安楽死の実行は思った以上にあっさり。兄弟愛や夫婦愛も感じられて、それでも死を選んだ主人公の気持ちはとても強いと思った。「チビるくらい怖いよ、死ぬんだぞ」という台詞が印象的。妻や友人達も最後は本人の意思を尊重し安楽死を見届けるのだけど、とても辛かっただろうな。でも生きていくほうがよっぽど辛いのもわかるし、これで良かったのだと信じたい。
 日本も安楽死は認められないから、やるなら彼のように海外へ行って結構なお金を払って審査を受けてとなって実質不可能。生きる権利も大事だけど、事情が事情なら死ぬ権利も同じぐらい大事だと改めて思った。死生観とロードムービーの相性はやっぱり抜群、95分と短いのでサクッと観られるのもグッド、オススメッ!
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