TS

スペイン一家監禁事件のTSのレビュー・感想・評価

スペイン一家監禁事件(2010年製作の映画)
4.1
【不運な家族たち】86点
ーーーーーーーーーーーーーーー
監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
製作国:スペイン
ジャンル:ホラー・スリラー
収録時間:85分
ーーーーーーーーーーーーーーー
なかなかの胸糞映画。これより胸糞悪い映画はいくらでもあると思いますが程よい長さ、飽きない展開、撮り方が非常に良かったと思いました。ヨーロッパでは住人が不在でもないのに住宅に押し込み、金品を略奪する事件が頻繁に起こっている模様。今作はそういう事件をモデルにして描かれたなかなかの良作であると言えそうです。

思えば日本の治安は何たる良いことよ。幸福な国かどうかは別として、治安の良さとしては間違いなく世界トップクラス。一方、もっとも治安が悪いとされる南アフリカのヨハネスブルグでは、車から降りて数秒して鞄を盗まれそうになるという有様だそうです。流石にヨーロッパではそこまでいかないと思いますが、今回のこの事件をみてヨーロッパもまだまだ一筋縄ではいかないなと感じました。

内容はある意味シンプルでして、襲撃してきた覆面を被った男三人が、豪邸の夫妻、その娘を監禁して限りある金品を奪い尽くすというもの。従って、当初はこの三人を殺すつもりはなかったのでしょう(全て奪ってから殺すということも十分考えられますが)。ところが、話は徐々にエスカレートしていき、強烈な展開になっていきます。その際、外に出される夫、監禁される妻と娘のショットを2分割にしているのが秀逸。タイミングが良すぎるところもありますが、どちらの状況も一画面でわかるのですから大変面白いです。

三人の内、一人狂気じみた男を投下したのも皮肉にも作品が面白くなった要因となっています。こんな男たちが果たして略奪だけをしてすんなりと退散するのか。彼は欲望の権化みたいなものでしたね。ラストの曲も陽気で逆にわらけてしまいました。そこはあくまでやっぱり情熱の国、スペインなのね。と(笑)

どうしようもない胸糞悪さは最近でいうと『ノックノック』に匹敵しそうです。また、『ファニーゲーム』には到底及ばないという声も聞きますが、まだこの作品を鑑賞していないので僕からは何とも言えません。胸糞悪い映画を見たい方にはオススメ。
TS

TS