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スイス・アーミー・マンのTSのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.0
【恥ずかしいとは何なのか?】70点
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監督:ダン・クワン/ダニエル・スキナート
製作国:アメリカ
ジャンル:ファンタジー・コメディ
収録時間:97分
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変な映画笑 しかし、悔しいことに割とメッセージ性に富んでいる映画とも思いました。死体とともに無人島からの脱出を試みる主人公。死体を通して生きるということは。そしてありのままの姿とは。というものを教えてくれた作品だと思いました。特に後者に関しては後述したいと思います。

何故か無人島に流れ着いたハンクは、生き残る術が全くなかったので自殺を試みようとする。そこに、青年の水死体が岸に流れ着くのだが。。

タイトルのスイスアーミーマンとはこの水死体のこと。いわゆる万能ナイフのような役割を担ってるからです。オナラは連発するわ、男の下ネタトークはするわ、今作のスタンスがコメディファンタジーであるのとわかっておかないと、ただの変な、気持ち悪い映画となってしまうでしょう。しかし、皮肉にもこれらを変である、気持ち悪いと思ってしまう時点で今作の落とし穴にはまってしまっているのです。ハリーポッターのイメージをどうしても拭いきれないダニエル・ラドクリフはついに開き直ったのか、尻を出してオナラを連発するという怪演をします。このオナラの正体は死体から出る腐敗したガス。間違ってもダニエル・ラドクリフが意図的にオナラをしてるわけではありません笑
さて、ハンクはメニーという名のこの水死体を使い無人島を脱出。水死体とともに森の中で過ごすという奇抜な展開。さて、そこで嘘か真か、この水死体が喋り出してしまうのです。ここは賛否両論ありますが、僕はここで喋り出してしまったのでげんなりとしました。たしかに水死体の素朴な疑問というのが今作の大きなテーマであると思うので見方によっては喋らせた方が良かったのか。と思いましたが、これではガチンコサバイバル劇であった『キャストアウェイ』を超えてくることはありません。僕はこの水死体が同作のウィルソンの役割を担ってほしかったのです。

さて、今作の大きなテーマはありのままの姿で生きるということは。ということでしょう。ここで水死体のメニーが何故人前でオナラをしてはいけないのかハンクに尋ねます。すると、それは「恥ずかしいこと」だからと返すのです。これは考えさせられました。そもそも恥という概念は「社会文明」が生み出した産物にすぎません。こういうことをしたら他者から変人扱いされる、すなわち自分への評価が著しく下がる。そういう一種の恐怖に怯えながら現代社会の人々は生きているのです。
転じて、恥ずかしいとは一体何なのかということをとても考えさせられました。別にオナラをしたり下ネタを公共の場でするということを肯定するわけではないですが、僕たちは知らぬ間に社会の束縛を受けているのです。

と、そのあたりのメッセージ性は良かったですが、水死体が喋るというファンタジー感にどうもあまりついていけず、スコアとしてはこれくらい。
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