バロウズ

スイス・アーミー・マンのバロウズのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.4
孤独な青年と水死体の友情を描いた実験作。
水難事故により無人島に漂着した主人公の青年(ポールダノ)は、砂浜に打ち上げられた水死体(ダニエルラドクリフ)を発見する。
その水死体は体内で腐敗が進んでいるようで、よく放屁をする。
主人公はその水死体にまたがり、絶え間なく発せられる屁をジェットターボのように使い無人島から脱出に成功する。

冒頭のこのシークエンスだけでこれが普通の映画ではない事がわかる。
その後も歯をカミソリ代わりにしたり屁を利用して火を起こしたり胃に溜まった水を飲み水やシャワーとして使ったりと、まるで水死体をアーミーナイフの如く利用してサバイバルしていく様は「死体ギャグ」そのもの。
しかしラドクリフ演じる水死体が喋り始めてからは徐々に哲学的な方向へと向かい、「生きる意味とは?」「死とは?」「恋とは?」と荘厳なBGMとともに非常に考えさせられるテーマへと話が進んでゆく。
ラストはなんとも言えぬ感動が押し寄せる。屁も押し寄せる。
去年劇場で見た中で最も奇妙な作品。
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