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パターソンのsoのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.0
2度目の鑑賞。初見の時とは違い、パターソンの微妙な感情の機微に集中できたので、より楽しめた。

最近よく観ているケリーライカート監督の映画を思い出したが、彼女の映画を初めて見た時にはストレンジャーザンパラダイスを思い出したのだった。映画の始まりと終わりで登場人物が同じ地点に居ること。
この現実を、現実に即して、いかに美しく描くかというところに、彼らに共通する魅力があると思う。

そんな映画のタッチと呼応するようにパターソンは、ドラマティックなもののない現実にこそ美を見出す。小さなマッチ箱に大きな愛情を見るように、そこにあるのは幻想ではなく、確かな手触りのする時間であり、空間だ。
そんな彼のすごす時間の流れを表すように、1編の短い詩が1日の途中で中断され、翌日になって再開される。また、バスできこえてくる乗客たちの会話も、パターソンはその話を誰かに話すわけでもなければ詩に書くわけでもない。だからこそ、これまでもこれからも延々と繰り返されるこの営みの時間の長さが自然に伝わってくる。この1週間に、パターソンの、人間の一生を見る。

不意に飛び出す「道化」という言葉。
ユーモアとシリアスの間を揺れ動くパターソンに、アダム・ドライバーがハマっていた。
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