からかす

パターソンのからかすのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.0
ジムジャームッシュ素人である自分としては
非常に詩的な映画だなと感じた。
写真集的と言ってもいい。
どこを切り取っても一つの写真になりうるカットで
日々の些細な出来事を詩であれば言葉、
映画であれば映像の文法で綴っている。
その中で何かを生み出す行為そのもの、
作中では詩作・ギター・カップケーキ
ひいては監督自身の作品作りというもの自体が
なんでもない日常の発露であると描かれており
なるほどと唸らされるものがある。

ただ個人的には本作に対して言い知れない恐怖も感じている。
というのも本作のトーン自体が詩的で寓話性が強い。
取りとめもない日常を描いているはずなのに
繰り返されるデジャヴュのように何も生活感を感じない。
まるで明晰夢の中で明晰夢を見るような
悪夢を見ている感覚に陥ってしまい
結構グラグラ来てしまったというのが印象。
この感覚は何に近いかというと
「アンダー・ザ・シルバーレイク」を観た後のものに近い。
「アンダー〜」よりも物語としては日常に近い分
より恐怖感を覚えてしまうというか。
からかす

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