周辺住民

パターソンの周辺住民のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.1
(シネマート心斎橋の惨劇をリタイア、後日アップリンク京都で鑑賞)

繰り返すことの美しさを僕は最近よく考えているんだけれど、美しさが有無を問われたら間違いなく有るのだと思う。

映画という媒体で繰り返す事を描くことは重複の連なり、冗長で長ったらしいともしばしば取られる。
しかしながら私たちの人生も大半は冗長で長ったらしい。人生を描こうとした時にそれは何よりも意味になる。

以前オフビート映画の何が好きなのかを熟考してみたことがある。
その時に出た結論が先程の繰り返すことの美しさ。何かに大きなものに突き動かされることなく日を跨ぎ、日を跨ぎ繰り返す。

それを面白可笑しいながらも冷酷に描いているから好きなんだ、私たちの生活の映画だから好きなんだと気づいた。

パートナーの趣味にパターソンが当然として接している事が何より愛おしかった。
時間をかけなければ成し得ない「当たり前」の同期。これまでの人生が彼らにもあったことの証左だと思う。

物語の終わりでプラスに振れても、マイナスに振れても彼らの人生は続いていく。
翻って私たちもそこに希望を見出せなくては、そう思う。
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