かー

東からのかーのレビュー・感想・評価

東から(1993年製作の映画)
3.4
私は道産子なので、映し出される雪の積もる夜の道や、そこで見える建物からの光などにとても懐かしさを感じた。不思議な気持ちになった。誰かが話す場面というのはほとんどないが、あっても日本語字幕はなし。どこの言葉か、どこの国かもよくわからなかったけれど、だんだんと自分の記憶と重なり、異国に感じなくなった。

人間それぞれ国も言葉も環境も何もかもが違っても、生きているときに感じるふとした感情…嬉しいとか悲しいとか以前のもっと感覚的なもの…(雪が積もっている道の空気の冷たさを感じるとか、それがなんだか懐かしいとか、夜が心細いとか…)というのは通ずるところあるに違いない、と思える映像作品だった。

やたらと誰かが座っている画が多かった。
「座っている」と一口で言っても休んだり、食べたり、ボーッとしたり、何かを考えたり、電車を待っていたり、誰かと話していたり、ピアノを弾いたり…多種多様で面白かった。

シャンタルアケルマンの作品は4作目だが、余白が多いこともあり、観る時間は必ず自分の記憶と繋がる時間だなと思う。もっと観たい。
かー

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