EUフィルムデーズにて
92年にドイツで実際に起こった難民襲撃事件をテーマにした映画。
前半は痛々しい若き衝動に飲み込まれる息子と、錯綜する政治と倫理に揺れる父親をこだわりを感じるモノクロの画とカメラワークで映した良作のように思えた。
けれど、問題は後半部分。惨状の鮮明さを描くためにモノクロからカラーに切り替わる映像と稚拙な暴力の表現として流され続ける不穏な音楽。それが安易な選択のように思えてならない。実際に起こった行為としての惨状は伝わったけれど、映画としては軽薄になったように感じた。もったいない。