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オルメイヤーの阿房宮のkyokoのレビュー・感想・評価

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
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アケルマン2作目、暗い廊下の縦構図と人物と風景の横移動を観ただけで、ああアケルマンだと生意気なことを思ってみたりもしたのに、実際はなかなか入り込めずに苦戦した。そういえば『地獄の黙示録』も同じだった。コンラッド先生ごめんなさい。

女性蔑視、白人至上主義の犠牲者としての母親と娘に視線を合わせ過ぎて、私の中でオルメイヤーが異物と化してしまったのが最大の失敗だったのかも。暴力の象徴としての「声」の使い方も苦手。
ネイティブのマレー人妻から受けられない愛を、娘のニナに求めるオルメイヤー自身もまた人生を壊された者なのだと改めて気づいたのはほぼ終盤。あれほどに鬱蒼としていた景色を抜けた先に現れた美しい海とラストのクローズアップに、心の置きどころがようやく落ち着いた。
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