眠人

オルメイヤーの阿房宮の眠人のレビュー・感想・評価

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
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舞台は東南アジアのとある国。金鉱の採掘権を得る代わりに現地のアジア人女性と結婚した白人男性オルメイヤーは、「混血児」の一人娘ニナを溺愛し、彼女を西洋型教育の寄宿制学校に入学させるものの、ニナはそれに反発して放浪を始める。

オリエンタリズムと家父長制がじとじとと纏わりつく作品だった。登場人物がアジア人を見下し、白人優位主義に依拠した台詞をサラッと吐いたりするのが生々しかった。恐らく彼らは自分たちが持つ無意識の傲慢さに気付いていないのだろう。

アケルマンらしく長回しが多め。画面固定で人物や木々が画面奥で揺れ動くショットが目立った。映像や科白で物語を説明しない語り口に鑑賞者への信頼のようなものが伺えた。海、川、スコールといった水に纏わるショットが数多く収められており、水を映し出したショットからは生死を連想した。度々登場する舟も印象的だった。何らかの境界線を越えることを示唆していたのだろうか。

ラストの長回しは今まで観てきた映画の中でも群を抜いて素晴らしいショットで、ラストシーンを観る為に再び映画館に足を運びたいと思った。
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