囚人13号

七月のランデヴーの囚人13号のレビュー・感想・評価

七月のランデヴー(1949年製作の映画)
4.2
ベッケル流『ゲームの規則』。

舞台俳優を志す男女や演出家といった登場人物は一見華やかでベッケル自身演劇に特権的な場を設けているのかと思いきや、やはり彼が本気で愛していたのはシネマだと最後に分かるのだから本作は単なる群像劇ではなく、素晴らしく感動的な映画讚歌でもある。
舞台によって充実した日々を送りつつあった男女も話が進むにつれて関係が複雑化し、ある男に至っては演劇に彼女を奪われたも同然なのだから特権どころか演劇に対して批判的な立場へと向かいつつあったのかもしれない。

しかし映画を撮ることの困難を痛いくらい体現している男がいるし、それでも彼は諦めず各方面に声をかけ仲間を募るのだから演劇のパーティー会場が一気に映画仲間の集会へと変貌していく様はもう青春以外何物でもなく、これこそヌーヴェルヴァーグ連の姿そのものではないか。
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