えいがのおと

ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYSのえいがのおとのレビュー・感想・評価

3.6
かっこいい役者をカッコよく撮る、そんな映画だった

ドラマ版の企画を聞いた時、映画監督が交代で撮るということで、楽しみに見たところ、無国籍感のある雰囲気に引かれた。
そのため、映画版は絶対見ようと思って期待していたのだが、なんとも言えぬ出来。
監督の力量はあるようで、マルチスクリーンの多用や、スクリーン内スクリーン的な撮影は、シネスコを上手く使いこなしていてカッコよかったし、臨場感のあるカメラワークも多く引き込まれた。
ただ、肝心の物語がなんともだった。原作漫画を読んでいないので、どれほどの位置を占めるエピソードかもよくわからないけれども、ドラマを経て解禁される映画であるのだから、もっと、裏都庁の関する話を見たいところだった。
出演者の演技は、誰も悪くなかったのだけれども、それだけに、ストーリー自体の薄さが気になってしまった。
何度も言うが、こだわりを持っているのか、丁寧な照明調整によってなされる美しい画面作りなど、映画的な映像美、セット、演技はとてもよかった。それだけに、ドラマ版にはあった、ストーリー自体のカッコよさをもう少し引き出せるとよかったと残念に感じる。
あと、安藤サクラが予想以上に出番が少なくて残念。
久保塚と鈴木のバディ感を押したPRをしている割にはそこも薄く、そして須賀健太ら2人を、あれほどなんとか捕まえようとする流れも薄い。ヤクザとの関係性も、これまでにあまり描かれなかったし、付かず離れずでなんともだし、結末は切ないだけだし…
かなり蛇足な感じになってしまったが、素晴らしい世界観のシリーズなので、非常に残念に感じた。