いの

DARK STAR/H・R・ギーガーの世界のいののレビュー・感想・評価

5.0
ギーガーさんの創り出した闇は、邪悪なものではなかった。それが今回、自分なりに感じたこと。闇は、光のためにあるのでもなかった。闇は、光に差し出すためにあるわけでもない。闇は闇としてそこにある。決して邪悪なんかじゃない。必要悪とかそういうものでもない。純粋で静謐で荘厳。そして観ていて 自分でも不思議なことだったけど 安らかな気持ちにさえなった。


幼き頃、父からもらった頭蓋骨。恐怖心を克服するために持ち歩いたのだという。オトナになってからもずっと大事にしているという頭蓋骨、それはまるで、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で古い夢を読み解く僕のようだとも思った(自分の知ってる少しのことと結びつけたくなるだけ)。ギーガーさんは愛情深い両親に大事に育てられ(リンチも同様)、そのお人柄ゆえ、老年になっても多くの人に囲まれ、彼の世界のなかで一同で饗する場面の穏やかさ。


その作品は 多くの人を魅了し続ける。唯一無二の世界。サイン会に、タトゥーいっぱいのごっつい兄ちゃんが感極まって涙する場面すき。MÜGGIという名の猫たん最強。きっと引き寄せられてまた観ちゃうと思う。ギーガーさんの描く女性の特に口元がすごく好きなんだという自分に気づいた。なんていうか、めちゃくちゃ格好いい。



メモ
誕生、生殖、死
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