中産階級ぶたくんを舐めるな

DARK STAR/H・R・ギーガーの世界の中産階級ぶたくんを舐めるなのレビュー・感想・評価

4.9
エイリアン新作公開の1週間前に観れたことが何より良かったです。

とても興味深い作品でした。
(ただエイリアンやホドロフスキーのDUNE、プロメテウスなど彼がデザインした作品の制作秘話などが目当てだと少し肩透かし食らうかもしれません。)
人生のバイブルになった一本。
HRギーガーは中学生の時はじめて
僕を"アート"に導いてくれた尊敬するアーティストのひとりです。

彼の描く作品の恐怖には親しみがあります。
先入観ではエロスを感じるものの、彼の作品の描いている本質は性ではなく"生"、人間の根源的な生と死(=生殖)であり、恐怖とともにどこか懐かしさを感じるのが魅力だと思います。

ぁぁ…もう何を言えばいいのか。
彼の人生に対する畏怖と憧れ。
エイリアンをきっかけに彼自身
アート文化と大衆文化の曖昧な立ち位置におかれてしまい、その後の人生も変わってしまったように思われる。といっても映像を見る限りでは具体的に生活環境が変わったようには見えません。
一見、自由奔放に仕事しているようにみえるも部屋に置かれたモノを見る限り、闇が彼の中に潜んでいるのではなく、闇が彼を受け入れているように思われる。

彼の作品に対する理解がより深まること間違い無しの作品でした。
これからの映画史に彼の作品のかけらが散りばめられていくでしょう。