シネマJACKすぎうら

ラスト・タンゴのシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

ラスト・タンゴ(2015年製作の映画)
3.8
この映画は、アルゼンチンタンゴの伝説的名ペア、マリア・ニエベスとファン・コペスを描く”半ドキュメンタリー・ドラマ”だ。
後進のダンサーによるマリアへのインタビューと、二人の半生を再現するダンス・ミュージカル・シーンを軸とした構成。さらに、若き日の二人のダンスを捉えた記録フィルムと相方ファン・コペスのコメントが”ナレーション”のごとく挿入される。

やはり一番の見所はアルゼンチン・タンゴのダンス。見事な”足さばき”も含め、後進ダンサーによるミュージカル・シーンにも魅了されるが、やはり、若き日の”マリア&ファン”のスピード、華麗さ、凛とした佇まいには及ばない。
センスのない例えかも知れないが、カンフーアクションにおけるブルース・リーとジミー・ウォングぐらいの差を感じるのだ(笑)。

このドキュメンタリーをひとつの物語として捉えると、主人公は完全にマリアの方。彼女が14歳の頃に二人は出会い、ダンスをきっかけに恋に落ちる。ブロードウェイでのショーを成功させ、アメリカで結婚するものの、帰国後、婚姻生活は破綻。皮肉なことに、そこから二人はペアとしての円熟期を迎えるが。。
屈託のない笑顔で、”悔いのないダンス人生”を語るマリア。そこから滲み出る”ファンへの未練”がタンゴの哀感とも絡み、なんとも切なく、涙を誘う。。