一人旅

ジュリエッタの一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ペドロ・アルモドバル監督作。

長年にわたって音信不通となっている娘と母親の関係性を描いたドラマ。

スペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督による人間ドラマの佳作で、マドリードに暮らす母親ジュリエッタを主人公にして、ある出来事をきっかけに10年以上音信不通が続いている一人娘アンティアとの確執と愛情を、若き日のジュリエッタと漁師の夫の出逢いや幼き日のアンティアと過ごした過去の回想を交錯させながら描き出しています。

アルモドバルらしく女性を主人公にした“母娘モノ”で、ビビッドな色合いの服装やインテリアにもアルモドバル節を見ることができます。死と生をモチーフにしたお話もやはりアルモドバル的で、主人公ジュリエッタは長い人生の中でいくつかの死に直面します。それがきっかけとなりジュリエッタは精神的に崩れ、娘のアンティアはそんな母親の面倒を一所懸命に見る。しかし、ある日を境にアンティアは母親の元を去り、そこから10年以上音信不通状態が続くのです。死によって引き裂かれたはずの母娘ですが、新たな死を通じて母娘はお互いの心情を理解し再会・和解へと舵が切られていく。死は大きな別れと喪失であると同時に、その悲しみを共有する者同士を強く引きつけ合う力が宿っているのです。

若き日のジュリエッタを演じたアドリアーナ・ウガルテと現在のジュリエッタを演じたエマ・スアレスは陽と陰で対照的な演技をそれぞれ披露していますし、アルモドバル映画の昔からの常連ロッシ・デ・パルマも個性激烈な家政婦役で異彩を放っています(すっかりおばちゃんに…)。
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