シネマスナイパーF

アダムズ・アップルのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

アダムズ・アップル(2005年製作の映画)
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まず、14年前の映画を買い付けて公開してくれたことに感謝したい
そしてパンフレットが550円という破格の安さにしてはコストパフォーマンスが良すぎる内容なのがまた素晴らしい


正直どいつもこいつも頭がおかしい映画ですが、要は信仰ってそういうことだしやっぱり必要なものなんだと思う
悪い奴のうち少なくない連中は実はかなりまともな考えを持っていて、様々な感情を理解しているからこそ悪いことをするという僕が常々考えていることが裏付けられたような気がしてなんだか嬉しい気持ちになった
ともあれ、猫が無惨に殺されてしまう映画はアカデミー賞作品だろうと好きになれなかったんですが、この映画は好きになれました


嫌なことから目を瞑る盲信は所詮重さを支える杖にしかならないが、全てを受け入れた上で信仰を持てば、それは足場となり人生を強く生きるための教訓となる
グナーとカリドにとってはイヴァンがそうだった
杖を取られた彼らは支えを無くして転び落ちていく
当のイヴァンは、悪魔の差し金アダムによって杖を抜かれてしまう
アダムは果たしてどういう成長を遂げるのか?

過剰なまでにキャラクターの個性が強いため、それが直接コメディ要素になっている
描きたいテーマが強烈な存在感を持って作品を支配しているので、寓話としての効果も大きい
嵐の夜は雷だなんだ色々正直やりすぎだけどそういう話だからってことで
人生ずっと試されてるイヴァンは心底かわいそうですが、アダムはアダムでお前は本当に心の底から悪に染まっているのか?と試されている

終盤になるにつれて、所謂神のいたずらが頻発するようになる
グナーのどうしようもない手グセや目を覆いたくなるような心の痛む展開なども、後の伏線になってたりする
そして地味に非道いことしまくったやつは何事もなかったかのように出て行くのもなんだかそれっぽい


観ている人間の両極端な感情が入り乱れて、最後にはホロリとくる小粋なエンディングを迎える
面白かった!!!