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ゴッホ~最期の手紙~のよのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.0
『ブレードランナー 2049』を観に行ったときだとおもう。この映画のチラシが目を惹いた。
良いポスターだ、とおもった。ツヤツヤの写真たちのなかで油絵の質感はよく目立っていたし、そのタッチもいかにもゴッホという感じにトレースされていた。
美術館の特別展みたいなチラシだった。とはいえ一応は映画館に置かれているのだから、まさか本編まで油絵で描かれているとは思わなかった。

六年越しにようやく観た今なら分かる。これはたしかにゴッホの生涯を描くにふさわしい手法だ。というか、ゴッホを描くならこのタッチ以外にはありえない。
この映画のために、百人以上の画家が動員されたという。そうして描かれた絵の総数は、ゴッホが遺した八万枚という数字を上回るのだろうか。

「彼は必死で証明しようとしてた。自分が何かを成し遂げられることを」
「ええ。そうよ」
もうとっくに彼は成し遂げている。
「だから、お墓に花を供えるの」
映画も供えられていると知ったら、彼は天国でどんな絵を描くのだろう。
よ