いやあ、始まってすぐに鳥肌がぞわそわ。唯一無二の映画。4:3の画面の中で、もぞもぞと意味ありげに動くひとつひとつの絵の具の跡が奇妙で、妙に心地よく、また妙に心地悪くもあった。
「我々は自分たちの絵に語らせることしかできないのだ」という文章から、なんて孤独な、寂しい人なのだろう、と思った。絵でしか表現できない気持ちや考えがあったんだろう。そんな大切な大切な表現手段の絵を描くことが、他の大切な大切な何かを犠牲にしていたら。苦しくてたまらなくなる。
弟にお金を出してもらっていて、絵が全く売れずとも、それでも描き続けたゴッホに、頭が上がらないというか。言葉に出来ないんだけど、なんていうか、夢のために諦めないっていう地点を超えている。絵を描くことへの執着心とでもいうのかな。貫き通した事実。
また、死に際の一言が本当に悲しく、孤独って言葉しか出てこないんだけど、とても寂しい死に方だったんだな、と思って。かわいそうって言うのもどうかと思うけど、かわいそうな最期だと思ってしまった。とても繊細でどうしようもない。無愛想なようでありながら、残す言葉のひとつひとつが優しくて丁寧でやわらかい。ゴッホという人にすごく興味がわいたし、とても魅力を感じた。
生きているというのは星に近づいていくということだ。