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ノー・ホーム・ムーヴィーのtntnのレビュー・感想・評価

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)
3.9
幼い頃のことから宗教や政治のことまで対話できているし、遠方にいても必ずSkypeで話し合う(例えばジャンヌ・ディエルマンが、家に閉じ込められていたとしてもリモートで誰かと繋がれていたらとか考えてしまう)し、アケルマンと母親の関係はとても良いものにも感じるのだが、インサートされる風景や、誰もいない家の光景には、撮影者の荒涼とした心象の反映のような気がする。
後半には、夜だったり、カーテンが閉じられたりと、家の中の暗闇をカメラがひたすら動くだけの場面が何度かあるが、自分の家にも関わらずここまで手探りで動き回るだけの映像を撮ってしまった時、その心境を想像すると胸が痛む。
でも、ドア越しに読書をする母親の姿をアケルマンが突き放しているはずもなく、「理解できないし辛いけど愛おしい」対象を描き続けた監督だったのかなと考えた。
アケルマンの煙草の銘柄はアメリカン・スピリットだった。
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