信濃の肉うどん男

ノー・ホーム・ムーヴィーの信濃の肉うどん男のレビュー・感想・評価

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)
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ゆっくり動くママが愛おしい。「家からの手紙」でずっと手紙をくれていたママ。あの頃はあまり返事をしなかったシャンタルも、頻繁にSkypeや帰省をし、食に関しても口出しちゃう。親子の立場は逆転していくもの。それが少しの圧になっていた事を編集時に知ったか。キッチンからテラスに出て、庭に放置された椅子を撮る。夜にそこから母の部屋を撮る描写は少々行きすぎたものを感じたが、彼女のリアルな孤独と高すぎるアート精神の混沌でもあった。今まで描いてきたものの原点はホロコーストを生き抜き二人の娘を育ててきた母。台所での二人の会話。母の話は、カルデラ語(アシュケナジムのヘブライ語)の祈りや、我が最近追っている旧共産主義国、現社会主義国、中東紛争パレスチナ問題等に関係する貴重な話。敢えてなのか、窓の外の光にフォーカスされた黒い影世界の部屋の画が、幻想的でシャンタルの心を映している様に観えた。
「世界中どこでも近いことを見せたい」Skypeの会話が温かくて泣けた。これが最期はやめてって時が最期。受け止めたくないシャンタル。黄色のアメスピ。我も帰省した時定点設置しようかな。余韻が大きく長引いた。毎年一度は観る作品になりそう。


ひとまず一人アケルマン祭終。
📢アケルマン画像の無い作品の視聴方法、公開情報(関東)収集中。ありましたらどなたでもください。