黒人だからと、人体実験が40年にわたり、暴露されることなく行われ続けていたという事実を初めて知った。
「タスキギー梅毒実験」。
奴隷解放宣言が行われてからも、十分な教育や医療を受けることができないことを逆手に、知らぬ間に黒人の人権を踏みにじられていたという事実はとてもショックで、信じられない。
でも、BLMを学ぶ上で知っておかなければいけない事実のひとつだとも思った。
「酷い」では片付けられないほどの事件も含め、これからもマイノリティへの差別を許す人と闘わないといけないんだなと改めて思った。
当時の倫理観は分からないけど、少なくとも、人体実験は非人道的だという認識はあったように思う。
半年から1年だけとされていたのに、これが40年間、1970年代まで、外部の誰からも告発されることなく続いていたとは、本当に衝撃的な事実。
「黒人一人ひとりの命なんかよりもずっと意味のある同胞の地位向上のために」
黒人医師の叫んだこの言葉がすごく重かった。
黒人への偏見を払拭したいという思いを、科学実験により達成しようという倫理的に矛盾しているが、そこまで追い詰められた黒人の立場を訴えていた。
人体実験がおかしいと反対していた黒人医師が、実験が始まると、続けなければならないと思うようになったのは、この人種マイノリティを払拭したい思いが後押ししていたのだろうと思った。
今まで、BLMについて学ぶために観てきた映画とは違う、静かで、間接的な黒人への仕打ちだった。
「もし白人なら」
という法廷において問われた仮定、それに対するエバーズさんの返答がこの非人道的な行いが続けられてきた全てを語っていたように思う。
最後まで、あの白人医師は、一体誰の味方をしているのか、全然理解できなかったな。