いの

野獣死すべしのいののレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1969年製作の映画)
4.0
愛しい息子をひき逃げされた男が復讐を誓う。なんとしても轢き逃げ犯を探し出し、相応の苦しみを与えたうえで殺さなければ。


中盤あたりからガゼン面白くなってくる。轢き逃げ犯の一家を訪問したところから。一同が会する場面。主人公が殺したい男は、ろくでもない男度300%くらいのヤツで、この男なら殺されてもかまわないと、わたしもつい賛成100票くらい投じたくなってしまうほど。一同が会した際のメンツが、キャラが立っているというのか、この場面に多分9名が揃ったと思うのだけど、この場面だけでその9名をわたしが理解できるというのだから、やっぱり監督の腕はたしかだということなんだと思う。復讐は達成できるのかできないのか。二転三転する展開に目が離せません。殺された愛しい息子と、殺したい男の息子は、年こそ違うもののとてもよく似ていて、絶たれてしまった父子関係を、疑似父子関係で繋いでいくようにも感じられ、単なる復讐劇からより深い層へと突入していったと思う。「野獣死すべき」のタイトルも観終わってみればとても深く、ヤツは死ぬべし だけではなく、そこに何重かの意味が足されていくように感じた。それから、カロリーヌ・セリエが満島ひかりにみえて仕方がなかった。荒波や、高所から俯瞰する海とか、できたら覚えていたいと思う。
いの

いの