曇天

ザ・コンサルタントの曇天のレビュー・感想・評価

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
4.5
これぞ現代のヒーロー映画といった趣き。コミックではなくむしろ小説で書かれそうな内容だと思った。表では会計士、裏では汚れた金を扱いながら追っ手を寄せつけない殺し屋。そんな現実離れした人物がどうやってそこに行きついたのかの経緯がミステリ仕立てで明かされていくあたり小説っぽい。それも少しずつ断片的にしか明かされないから、予想はできるが最後まで観ないと全体像は見えない。
キーワードとして「〇〇〇」という特殊事例があるんだけど、これが持つ能力的、社会的に人とは違う事情に集中してここから想像を押し広げて、映画全体でヒーロー像を構成している。その一つ一つの要素(逸話)が現代社会でもありそうと思えるくらいのリアルさを持って進行していくのが良い。ベン・アフレックはDCユニバースでもバットマンだし(ロビンやゴードンに当たる人物もいて面白い)、所謂「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」型だけど、特に思い出したのは一般市民との繋がりを意識していた映画『アウトロー』でした。見せ場がアクションばかりなのではなく、ヒーローと市民の人間ドラマである映画は好きです。

経済分野・経理を扱う人物の話で、題材としてとても安定していると思うので続編も方向性の変更なしでやって欲しい限り。ベン・アフレックの鬱っぽい表情をさらに乏しくさせてて彼以外考えられない。10年代から人気が出始めたアナ・ケンドリック、ジョン・バーンサル、J・K・シモンズと脇も安定。
一番のシーンは会計士が会議室一面に数字を書いて不正を探すシーン。楽しみの少ない彼が唯一生き生きして見えるから。彼の凄さよりもそこが強調されてて素敵。
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