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バナナの逆襲 第1話 ゲルテン監督、訴えられるの小のレビュー・感想・評価

4.3
ロサンゼルス国際映画祭のコンペティション部門に選ばれ、プレミア上映されることが決まっていたドキュメンタリー映画『Bananas!*』が、上映直前、コンペ部門のノミネートから外された。中米ニカラグアのバナナ農園での農薬被害をめぐる裁判を描いたドキュメンタリー映画で、監督のもとにはバナナなどのフルーツで有名なドール社の弁護士から「映画祭で上映するのなら、上映を停止するための法的措置を取る」という手紙が来た。

この大企業による言論弾圧とも思える、監督個人の体験をカメラで記録したのが、『第1話 ゲルテン監督、訴えられる』(2011年製作)だ。一方『第2話 敏腕?弁護士ドミンゲス、現る』(2009年製作)は、その問題となった映画だ。どちらも利益のためなら何でもする、大企業の怖ろしさが伝わってくる。

訴訟による問題解決はとにかくお金がかかる。第2話で相手の弁護士が勝ち負けを、かかった費用と勝ち取った賠償金の差額で決めて話していたけど、はっきりしているのは、お金を持っている大企業の方が断然有利だということだ。また、大企業はマスコミに対しては、広告という手段で圧力をかける。アメリカは一部の超お金持ちと大企業に支配されているかのようだ。

言論の自由が脅かされているような事態にもかかわらず、訴訟に怯え身動きが取れないアメリカ。一方、監督の母国スウェーデンではこの問題をきっかけに、言論の自由、報道の自由への関心が高まり、スウェーデン全国の映画館で『Bananas!*』(第2話)が放映された。『Bananas!*』の上映運動にかかわっているヨーロッパのキャスターたちは、アメリカで上映差し止め訴訟が行われたにもかかわらず、放送を決定した。

スウェーデンのハンバーガーチェーンから『Bananas!*』で示されたような問題について説明を求められたドール社は、何も回答しなかった。同ハンバーガーチェーンは憤り、ドール製品の取り扱いをやめた。そしてスウェーデン市民はドール社の商品をボイコットするようスーパーに圧力をかけ…。

第1話では企業の圧力にやすやすと屈してしまうロサンゼルス国際映画祭って何なの? という気もしてしまう。一方、我が日本もすぐに屈してしまうのではないか、と心配になるけど、どうかしら?
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