Jun潤

リトル・マーメイドのJun潤のレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
4.1
2023.06.10

ディズニーアニメ実写化作品。
プロモーションの段階からアリエル役に黒人女性を起用だなんだで、最近のディズニー作品の例に漏れずポリコレの波に押されてしまったご様子。
まぁ観てみないことには始まらないですし、原作アニメは未視聴なので純粋に楽しむべく今回鑑賞です。

海をゆく船乗りたち。
彼らは人魚に対して畏怖の念を抱いていた。
そして海のはるか下、人魚の世界。
人魚姫の一人であるアリエルは人間の世界に憧れを抱き続けていた。
アリエルの憧れは、とある嵐の日に船が転覆して海に投げ出されたエリック王子を助けた日を境に、父であるトリトン王の強い反対があっても止められないものとなる。
そんなアリエルのことを見張っていた叔母のアースラは、トリトン王から力を奪うべく、アリエルを誑かし、声と引き換えに足を与える。
陸に上がったアリエルは、エリック王子と運命的に惹かれ合っていくー。

う〜ん、これぞディズニープリンセス!て感じ!!
お話的には超王道というか、もはや違う世界の男女が惹かれ合う物語の始祖、時が経っても色褪せることのない素敵なストーリーでしたね。

映像の進化ももはやとどまることを知らず、海の中のシーンなんかは実写でもアニメーションでもない新たな映像表現になっていたと思います。
海中と地上で描写が明確に差別化されていて、当然っちゃあ当然ですが現実感そのまんまの地上に対して、ファンタジー世界観MAXに海中が描かれていたことで、現実とファンタジー、異なる世界同士のアリエルとエリックの対比がよりくっきり出ていました。
序盤は海中の場面が主だったこともあり、実写を通り越し過ぎていてもはや不気味の域にまで達してしまったかと思いましたが、陸上の場面と合わせて実写ならではの作品にちゃんとなっていましたね。

アリエルを演じたハリー・ベイリーの演技も良かったですね。
ストーリーの都合上、後半はセリフなしの表情演技のみになりますが、BGMや歌声と合わせて、せっかく再会できたエリック王子との会話もままならず、やきもきしている様子を演じられていたと思います。
しかし人種差別を気にしすぎてか、アリエルの姉妹たちも人種が入り乱れていて、人魚の遺伝がとんでもないことになってましたね。
いやしかし個人的にはヴィランのアースラを演じたメリッサ・マッカーシーが半端なかった。
もう一人の主人公かな?てくらいのバツグンの存在感を放っていました。

エリック王子の執事・グリムスビーが言っていた、理想か目の前のものどちらが大切か。
これはエリックが自分を助けてくれた人魚姫のアリエルよりも、目の前にいる人間のアリエルを想う姿にちゃんと表れていました。
アリエルについても、アースラを倒した後に、理想そのものであったエリックではなく、これまでずっと一緒に暮らしてきたトリトン王を助けたことで、後々自分の理想を掴んでいて、アリエルとエリック双方の結末に繋がる良いセリフでした。
あとは同じ三叉槍を、トリトン王は自分の娘には向けることができずアースラに差し出し、アースラは自分の子供と言っていたウツボに向けた結果、誤って殺してしまう姿で対比していたことも印象的でした。

世界観もさることながら、「パート・オブ・ユア・ワールド」や「アンダー・ザ・シー」などの聞き馴染みのある曲から、あまり聞いたことがないけれどもノリノリになれる楽曲、目でかカニという衝撃ビジュのセバスチャン、人語を話す鳥や魚などの非人間キャラに対する愛着など、実写であることが全くノイズにならず、ザ・ディズニーな映画に仕上がっていました。
今後もポリコレだなんだで色々あるかもしれませんが、ディズニーコンテンツというだけである程度の安心感はありますね。
Jun潤

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