よか

リトル・マーメイドのよかのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー映画の、毒にも薬にもならない類いの骨頂って感じ。別に悪かった訳じゃないけど、わざわざ実写化する必要あったかなぁとは個人的に思う。

元々がディズニーの中でもトップクラスで中身のない話なのに、中途半端にポリコレ問題突っ込んだ挙句、画面がやけにリアルだからかいい感じに誤魔化し効かせてたお伽噺のフィルターも取れて、話のスカスカ具合が露呈した感が否めない。
そもそものアリエルのキャラがプリンセスとしての矜持や品格に欠けるキャラクターな上に、ハリーベイリーはチャーミングで素敵だったけど後先考えず突っ走るお転婆娘という程でもなく、中途半端に流されてる感すらあって、自らで運命を切り開く力強さには欠ける印象。

なによりエリック王子が微妙すぎ。ダントツで説得力がない。
そんな一瞬で惚れ込むほど素敵?故郷もアイデンティティも何もかも捨てられる程いい男か?先のことは考えず、臣下を危険に晒し、育ての恩も忘れて、責任を果たさないくせに権利だけは主張する。
その奔放さすら魅力的!って言いたいなら、やっぱりハリースタイルズくらいの男引っ張ってきてくれや….…
なんなら作中でアースラが1番よかった感すらある。国家転覆を試みて、自らの力量を加味して直接対決では叶わないとなるや、冷静に相手の弱点を探ってじっと機会を待ち、口八丁で丸め込むその手腕…いい女だったほんと………

NEWキャラクターの女王が出たところでエリックの人間性に深みが出た訳でもなく、むしろ表面的な要素だけ増えて余計に薄っぺらい人間になってたし、ハリーベイリーの起用で折角一歩踏み込んだ話をつくるきっかけになったのに、人種や種族の違いに深く突っ込んでいく勇気もなく上っ面を撫でた程度の描写。ラブストーリーとして仕立てるには中身がなさすぎて到底無理がある。

原作ではアランメンケンの素晴らしい音楽と、「まあ、お伽噺ですから!」っていう最強屁理屈をもって力技でストーリーをまとめ上げてたけど、これが結局キモだったなという印象。
イキイキとしたキャラクター達と、アニメーションならではのある種ファンタジックな描写が物語全体に「お伽噺」ってフィルターを掛けてくれていたけど、結果このお伽噺フィルターが最強なのでは?って改めて思いました。

確かにVFXは凄いし、海中の描写は美しかったけど、リアルに近づけば近づくほど、幻想ではない物語を裏付ける根拠が必要になってくるし、そこの根拠が出せないのならわざわざ実写化する意味ってないんじゃないかな?とは個人的に感じてしまう。
だってライオンキングの時も思ったけど、歌って踊り狂うリアルなカニとか魚誰が見たいん?って感じやん。だったらアニメで良くない?

総じて説得力に欠ける上、物語に意義を見出せないなというのが感想ではあるんだけど、映画自体が悪かったかと言われるとそういうわけではなくて、前述した通りハリーベイリーは表情がチャーミングで素敵だったし、衣装のビジュアルも割と好きでした。
個人的には舞台版やアニメ版のアレンジの方が好きではあるけど(これは完全に好みの問題)アランメンケンの楽曲はやっぱり最高だし、今回の圧倒的スケール感のアレンジは終始リアリティのある描写に壮大さをプラスしていてとても良かったし画面にマッチしてると思います。アランメンケンの曲をシネマサウンドで聴くためだけに1500円払う価値はある。

あとはみんなの憧れのプリンセスが自分と似た見た目ってことで感激して涙を流すような子達が沢山いたっていう事実だけで、映画自体の価値はあるんじゃないかなって思いました。
まあそんな感じです。
よか

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