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リトル・マーメイドのnere795のレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
1.3
ポリコレと人魚姫のストーリーが相性が悪い、つまり、そもそもが、魚等の海の世界の住「人」を食べちゃう人間と、人魚達の対立は、本質的根源的なものだし、それが一人のお姫様の輿入れで解消するはずもない

で、食べる食べられるってのは、搾取する側とされる側のメタファーでもあるわけで、搾取される側から、する側に、ヒロイン「だけ」がなりあがっていく、という筋でもあったりもする…

という構造的矛盾は、おそらく、お姫様を夢見る女の子たちにとってはどうでもいいはずなんで、それもケシカランという域には、少なくとも今回のディズニーは立っていないようだ(白雪姫はそこも徹底して啓蒙するつもりらしいが)

であれば、なんで、女の子の、「アリエル」の実写を見たいという夢をつぶしたのか? ヒロインの黒人女性を売り出したい、それも良かろう、だがそれだったら彼女にふさわしい舞台を用意すればよかった、
実写と言いながら、実写のイメージをただどりする、つまり、「あのリトルマーメイド」の、っていいながら、似て非なるものを出してくる、それってインチキじゃないのか? この女優の美醜という評価以前の問題として、そこについてディズニーは答える必要があるように思う 

特に、フォークで髪をすく、っていう有名なシーンが、実写化において大金をはたいたドレッドヘアのエクステで台無しになった(軽く巻き付けてみるだけ)ことはどうするんだ?っていう点について

おもったよりもよかった、と言えるまでに達観している人はポスターや予告編宣伝で、覚悟の上で見に行った人たちだからなんであって、その声が大きいからといって、総意だとは即断できまい

見に行く前に、それらに接して、「こんなのアリエルじゃない」と断念した人たちの声は、映画評には救い上げられがたい 特に声をあげることができない小さな女の子達の夢を奪った罪は軽くないだろう

最終シーンにとってつけたみたいな、多国籍人魚のオンパレードも、これで観衆が感激すると思ったら、制作側のセンスと知性を疑うしかない

実写版といいながら、一番の出来が良かったのは、CGでの海の生物の群舞であった、というのは情けない話なのではないのか?

あと、kiss the girl の和訳歌詞が、なんで「キスして」になるのか?
キスしろ、だろうし、かなり意味が違ってくるんだが…
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