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リトル・マーメイドのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【正義の押し付けで、
物語を複雑にしている】

巷で賛否のあがってる、
アリエルの配役云々の前に、
あまりにも、薄っぺらい。
135分もあって、何故に、ここまで薄っぺらくなったんや??
なんでなんやーーーー!!

主人公のアリエルを演じたのは、歌が抜群にうまいハリー・ベイリー。
いや、圧巻の歌声で、
あの海の中の映像と相まって、
しょっぱなは心を鷲掴みにされました

アリエルが白人でない事など、
賛否があるようだけど、
私的には、ハリー・ベイリーは可愛くて、
歌唱力も申し分ないし、
全然良かったんですけど。

 王子と出会って、
恋に落ちるまでの展開が凄く早くて、
自分の声を差し出すくらいの恋心の変化が、
十分に描かれていなかったかなぁと。
恋心以前の、地上の世界や、
王子への興味津々な所とかは良かったんだけど、終始、
岩陰から王子様を見つめる姿も、こう、
「心惹かれてる」というより、
「ザ・偵察」って感じがするんですよね。
これは、ハリー・ベイリーだけに問題ではなくて,
この2人のケミストリーが、ホント、イマイチだったんですよね。
最後の最後まで、なんか、
よそよそしく感じたのは、私だけでしょうか。

 「シンデレラ」のあの初々しく心ときめく2人や、
相手が野獣なのに、その恋心を深く感じさせてくれる「美女と野獣」を
比較すると、歴然ではないかな・・。 

実写化の面白さというのは、アニメで描き切れない感情の裏側だと思うんです。
「シンデレラ」なら、継母の心の内を、
すごく繊細に描いていて、素晴らしかった。
でも、この作品には、
それが全く無いのが驚きだったんです。
あまりにも「人種差別」「女性の自立」に重きを置き過ぎて、
本来の物語を軽んじ過ぎたんじゃないですか???
アースラの孤独が描かれるワケでもなく、
父親の葛藤が描かれるワケでもなく、
アリエルとエリックの恋心が不十分な上、
どの登場人物も深堀もなく、
136分、何をしてたんやーーー! 

物語は、何もなく薄っぺらいから、
「人種差別」や「女性の自立」の
取ってつけた感が半端ないワケですよ。
いやさ、そういうメッセージ性って大事ですけど。
ここまで、あからさまなのは、「逆差別」のような印象を受けてしまいます。
最後のシーンで、様々な体形の人魚が現れたりするけどさ、
(どこから出てきたんや・・・この人魚たち・・と思ったけど)
始めのシーンから出てくる人魚たちは、みんなスレンダーだし。
映画ってそういうモノじゃないと思うんですよね。
ここまで露骨だと、何かの「プロパガンダ」という感じがするし、
どこかで、何かの力やお金が動いているのか??って疑ってしまう。

そうではなく、映画っていうのは、
その物語の中から、
観客が何かを自分で受け止めるという事が大事なんだと思うんですよ。

そもそも、ディズニーという作品は、
人間以外のものが多く登場してくるし。
その人たちに対して、
平等に優しく接するプリンセスに、
子供たちは自然に様々な事を
学ぶんじゃないのかな・・・・。

ここまで、露骨にしないと観客は分からないと思ってるんかな。
バカにしやがってーーーー(笑)

出だしの海の中の場面とか、
めっちゃ綺麗だったんですよ。
でも、海上の場面とか、
CG粗い所が、目立ちませんでした?
特に、アースラが巨大化する所とか、
ちょっと、笑ってしまったもん。
ここは、そんなに適当なん??って。

最後の場面もさ、アリエルが去る時に、
振り返ったら、お父さんが、
ぬぉーって出て来てて
ビックリしたら、
後ろから、また、ぬぉーって妙に化粧の濃い人魚が出てきてたやん?
ホラーだよね、あれ。
なんか、海の水も綺麗じゃなかったし、
あのシーン、
何とかならんかったんかな。
ハビエル・バルデムが一生懸命演じてても、
なんか、笑いが出てしまったよ。
せっかくのカスピ海が、勿体い・・・・。

あと、セバスチャンとフランダーが、
これでもかって程、リアルなカニと魚になってて、
ビックリしたけど(笑)
うーん・・・何故にこんな形にしてしまったんやろね。
セバスチャンとフランダーのユーモアさが半減するよねぇ。

お父さんとのコント式お別れも面白かったけど、
何故か、最後に、人間と人魚が仲良しさんになっているのも、
唐突で、どうゆう事??ってなった。
ここでも、「違う民族との友好」みたいな正義の押し付けに、
うんざりした次第です。

この映画を観て、こういう風に、「正義」を押し付けられるのって、
とっても不愉快だわ・・・・
と実感できたのは、収穫でした。

ハリーベイリーは確かに頑張っていたけれど、
あくまで、ハリーベイリー版アリエルという感じかな。
私の好きじゃないアリエルは、自由奔放でちょっとワガママ、
天真爛漫なイメージだったから。
そういう明るさが、ちょっと物足りないな・・・と思ったかな。
そのトレッドヘアのせいじゃない??
なんか、めっちゃ水を含んでて、重そうに見えるんだよね。

ディズニーもさ、わざわざ、昔からの物語の実写版で、
こういう押し付けみたいな事しなくても良いのにね。
したいならさ、
そういう新作を作ればいいのに・・・って思う。
昔の作品をリメイクして今に合わせるんじゃなくてさ・・・・
今の時代に合った物語を作ればいいのになって思う。
そして、昔の作品を観て、
「白人至上主義やな」とか「女をなめとるな」
「プリンセスはスレンダーばっかりやな」とか、
そういう違和感を感じる事も大切なんじゃないかなって思うんだよね。

ディズニーの作品から感じるのは、
とても、シンプルなメッセージで。
勇気とか優しさ、そして、その人の本質を知る事。
それだけで、充分なのに。
余計な正義の押し付けで、
物語を複雑にしているように感じてしまった。
 だって、そういう押し付けがなかったら、
もっとハリーベイリー版アリエルを単純に楽しめてたと思うもの。

今回の配役問題で、ハリーベイリーへの誹謗中傷があったのは、
凄く悲しい事だと思う。

この役への挑戦は、素晴らしい勇気だったと思う反面、
考えられないほどのプレッシャーがあって、
故に、全編通して、若干堅い表情が多いのかな??とか考えちゃって。
そうするとね。
そういうプレッシャーのない、
新たな物語の中の彼女を見たいな・・って思ってしまった。
弾ける笑顔で、のびやかに歌う彼女を、
見てみたいなって思うので、また、ミュージカル作品への出演を、
熱望します。

なんか、この想いを表現するのが、難しくて。
ダラダラしたレビューになってしまいましたが。
こんな風に感じる事もまた、映画の醍醐味なのかも知れないけれど。
映画はあくまで映画であって、
広告でも宣伝でもなく、教科書でもない。
何かの正解を押し付けるものでもなく、
観客が、自ら、思考し模索し、探し当てるものだと思う。
そういう楽しみを、奪わないで欲しい。
mofa

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