このレビューはネタバレを含みます
主人公の女性・アンナに襲いかかった戦争よってもたらされた婚約者・フランツの死という悲劇。そこから引き起こされた婚約者の友人と名乗る元敵国の男・アドリアンの嘘。やがて嘘が真実へと変わり、アンナの心は翻弄される。戦争が終わった後とはいえ、敵国だった国に赴くことは、敵意の眼差しを向けられ、いたたまれない思いに駆られたことだろう。そうしたヒリヒリとした空気感がすごく伝わってきた。そして、この映画の中に登場したエドゥアール・マネの絵画「自殺」は非常に衝撃的であり、とても意味深く重要な役割を果たしていた。