レオ

冷たい熱帯魚のレオのレビュー・感想・評価

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)
3.8
小さな熱帯魚店を営む社本。ある日彼の娘が万引きで捕まったところを、同じく熱帯魚店を経営する村田に助けてもらう。社本とその家族は一見人当たりの良い村田と親交を深めるが、彼の正体は悪魔とも呼ぶべき凶悪な男だった...というストーリーのバイオレンススリラー。

実際の殺人事件を元に作られた作品だが、細かいところまで忠実に再現してるわけではなくて、あくまで大きなモチーフの一つといった感じ。

園子温監督らしく多くの要素を詰め込める限り詰め込んだ作風で、どの場面も面白いもののやはり尺は長めである。

内容で特筆すべきはやはり殺人鬼、村田のキャラクター。一見するとどこにでもいそうな面白おじさんだが、冷酷に相手を殺す凶暴性だけでなく、人の本性を見抜いて操る術も持っている恐ろしい人物。

劇中では彼とその妻による凄惨な犯行が描かれるが、邦画ではかなりキツめのスプラッターな絵面が繰り広げられる。最後の方は展開も絵面も地獄絵図である。

また、エロ方面もなかなか凄いことになっているので、人と一緒に見るのは憚られる内容。エンタメスリラーでは無いので一人じっくり見るべし。

一方で、エログロだけが見どころかというとそんな事もなく、主人公の社本が村田の影響を受けてどのように変わっていくか、という歪な成長譚的な側面が興味深いドラマになっている。

円満な家庭を作り暮らしたいという思いを持ちつつも、気が弱すぎるために叶えられない社本にとって、自分の欲望に正直に生き、それを具現化する力を持った村田は恐ろしくも一種の理想像として映ったのかもしれない。

村田というメンターの影響を受けることで社本は最悪の方向に成長してしまった、というブラックな展開が本作の印象に残る余韻に繋がっていると思う。

■共通項目
脚本:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:☆☆☆
役者:☆☆☆☆☆
キャラクター:☆☆☆☆
オリジナリティ:☆☆☆☆
個人的好き度:☆☆☆☆

■ジャンル項目(スリラー、バイオレンス)
ハラハラ度:☆☆
胸糞度:☆☆☆☆
エログロ度:☆☆☆☆
(恐怖度:25)
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