湯っ子

C.R.A.Z.Y.の湯っ子のレビュー・感想・評価

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)
4.3
かっこいい音楽と、ちょっと不思議なエピソードや演出と、そして何より愛にあふれた映画だった。
ゴリゴリマッチョな父親は、よくある欧米のホームドラマみたいに、「愛しているよ」とか「誇りに思っているよ」とかめったに言わない。だけど愛ってそういうことじゃないと思う。どれだけ本気でその人の幸せを願って、心配したり怒ったり泣いたりするかってことだ。

この父親は、息子たちに価値観を押し付けて、威張って怒鳴り散らかすせいで、主人公や他の兄弟ともしょっちゅうぶつかり合っている。だけど、この父親はこの時代で「まともな男として生きる」ことを必死にやってる。それはなかなかしんどいことなんだろう。だからこそ息子たちにもそれに耐えうる強い男になってほしいと願っているんだと思う。

おっかない父親から息子たちをさりげなくフォローする母親とのエピソードは、少しスピリチュアルな要素もあるのが面白い。パパもそれはそれは頑張っているけれど、このママがいるからこそ、これだけの個性も主張も強い男たちをつなげていられたのだ。
兄弟間の関係は、成長につれて変わっていくが、それでも変わらないところもある。この兄弟の絆の描き方も、とても程が良くて好き。
湯っ子

湯っ子